Kindle表紙デザインの重要ポイント【デザイナーが解説】
この記事では、Kindleの表紙をデザインする時におさえておきたい重要ポイントをまとめました。
- これからKindle本を出版する方、または興味がある方
- 電子書籍の表紙デザインの重要ポイントを知りたい方
などに役立つ内容になっています。
では、早速見ていきましょう。
Kindle電子書籍の表紙デザインで必ず抑えておきたい重要ポイント
Kindleで本を出版するということは、アマゾンという巨大なマーケットで少しでも自分の本の露出を増やしたい、売りたいと思われているのでないでしょうか。
アマゾンでは何十万部も売れるベストセラー作家の本も、初めて出版した新人の本も、同列に表示されます。
何十人も関わっていて「絶対売ろう!売れなきゃ今年のボーナスが出ないかもしれない」という強い思いが伝わってくる本の隣に、あなたの本が並ぶということです。
「興味本位で出版してみただけだし、何かあったら販売やめよう」みたいな気持ちで取り組んでいても、あまりいい結果には繋がらないでしょう。
いちばん大切なのは表紙タイトル
デザインを始める前、依頼する前に、考えに考え抜いたタイトルを用意しましょう。表紙デザインの完成度の鍵を握るのがタイトルのクオリティと言っても、過言ではありません。
「デザイナーなのにこんなこと言って、うまくいかなかった時の言い訳なんじゃない?」と思われたかもしれません。
が、今までのブックデザインの経験上、やはり内容を正しく反映したタイトルがあってこそ、デザインでさらに引き立てることができると言えます。
たとえば刺身で食べても美味しいサバ(=良いタイトル)なら、どんな料理人(=デザイナー)がさばいても、よほどのことがない限りまずい料理(=デザイン)にはならないでしょう。
そのまま刺身(=シンプルなデザイン)でも、手の込んだ料理(=アレンジしたデザイン)でも出来ます。
では、サバの缶づめならどうでしょう?
料理人(=デザイナー)の腕次第では、鮮度の問題をカバーした美味しい料理(=デザイン)が出てくるかもしれませんし、逆に素材が全く活かせず美味しくない料理(=デザイン)が出てくるかもしれません。
そもそも誰が担当しても、鮮度を生かした一品は作れないので、作れる料理(=デザイン)は限られてきます。
「デザインが良さげでも、内容がいまいちピンとこないタイトルの本」を読みたいと思う人はまずいないでしょう。
逆に言えば、良いタイトルさえあれば、たとえ表紙デザインがイマイチでも興味を持ってもらえたり、本を買ってもらえる可能性は十分あります。
わかりやすい表紙タイトルはテキストや音声でも伝わりやすい
- ポッドキャストなど、音声のみの媒体でも本の魅力を伝えやすい
- Twitterやブログなどで、テキストのみで紹介される時にも有利
- 知人や友人に直接話して伝えやすい
- 他の人に紹介してもらいやすい
- 本当に読者が知りたいことが書かれているか判断しやすい
そもそもタイトルがわかりにくいと、かなり損してしまうと思います。
- タイトルを誤解した読者が購入し、低評価がつく
- せっかくSNSで拡散されても、わかりにくいタイトルでスルーされる
- 表紙デザインを頼んだデザイナーに内容を理解してもらえない。たくさん質問されたり(時間のロス)、自分の意図と違う方向でデザインされたりする
本を読んだらわかること、メリットがすぐに伝わる表紙タイトル
読者は時間を無駄にすることを非常にもったいないことと思っています。たとえKindle Unlimitedで無料で読める本でも、それは同じです。
もしタイトルがなんだかぼやっとしていて、何が言いたいかよくわからなければ、読者は別の本を探し始めてしまいます。丁寧に読んでくれる読者はまずいないと思っておいた方がいいです。
「本を読んだらどんな知識が手に入るのか」をタイトルでわかりやすく伝えましょう。
たとえばシニア向けのスマホの本で「Instagram」と「インスタグラム」、どちらがいいと思いますか?
文章中に英単語があると一見かっこよく見えますが、一方で英語を読みたくないと思っている人やそもそもそれ自体を知らない人に避けられる可能性もあります。
「これは英語でも大丈夫だよね?」と思われる言葉でも、カタカナにした方がいいかもしれません。
表紙タイトル案を見直す時のポイント
表紙タイトル案を考えたら、そこから様々な方法でブラッシュアップしていきましょう。
- 声に出して読んでみる
- 家族や友人に率直な意見をたずねてみる
- SNSやクラウドソーシングサイトでアンケートを取ってみる
- 一日後、二日後に見直してみる
- 紙に書いてみる(縦書き、横書きなど)
- 同じジャンルで売れている本のタイトルと比べてみる
- 書店で間違って別のジャンルに置かれてしまっても、内容を誤解されないタイトルか考えてみる
- 同じような言葉をいくつも使っている時は他の言葉に置き換える
- 対象読者があなたの本を探す時に使われそうなキーワードを入れる
何かちょっとでも引っかかる表現やよくわからない部分があれば、うやむやにせず別案を考えましょう。
「うまく説明出来ないんだけど、なんか違う気がする」というモヤモヤ感があるときも、もっと他のアイデアを出すべきです。そういう直感は意外と当たっています。
タイトルばかりを真剣に考えているうちに、いつの間にか本の内容と合っていないタイトルをつけてしまうことがあります。自分では気づかないことも多いので、家族や友人など、第三者に見てもらうのがオススメです。
著名人の本の表紙デザインを参考にする時の注意点
すでに著名な方が書いた本の表紙デザインを参考にするのは、オススメしません。なぜならそういった本の表紙は「著者がすでに有名である」ことが前提でデザインされているケースが多いからです。
著名人の本 | あなたの本 | |
---|---|---|
タイトル | 意味不明なタイトルでも、 顔や名前を出せば興味を持ってもらえる | 意味不明なタイトルでは興味を持ってもらえない |
主な宣伝媒体 | テレビ、新聞、雑誌、自身や出版社のサイト、SNSなど | 自分のサイト、SNS |
顔出し | 顔を出すだけで興味を持ってもらえる | 顔を出しても興味を持ってもらえない |
名前 | 名前を出すだけで興味を持ってもらえる | 名前を聞いても誰だかわからない |
サポート体制 | 編集者、ライター、校閲、カメラマン、イラストレーター、デザイナー、営業などその道の一流たち | 基本的にすべてあなた一人が担当 |
著者の自由度 | 出版社や編集者の意向などで 著者が自由にできない部分もある | 基本的にすべてあなたの自由 |
費用 | 関わる人数や広告が増えるほど、費用は莫大に | 全て自分でやれば、低コストで出版可能 |
すでに人気の芸能人や著名人なら、表紙に顔や名前を大きく出すだけで本に興味を持ってもらえます。
また新聞やテレビ、自身のYouTubeチャンネルなど、影響力の大きい場所でで本についてしっかり説明できるので、造語やちょっと意味のわからないタイトルでも大丈夫なケースがほとんどです。
むしろそのわからなさで「これ、どういう意味?」と興味を持たれることさえあります。
- 著者の写真が大きい表紙デザイン
- 著者の名前が大きい表紙デザイン
- 造語や意味不明な言葉がタイトルの表紙デザイン
以上の表紙デザインは、真似しても逆効果になるので注意が必要です。
売れている本の表紙デザインで参考にしたいもの
とはいえ、著名人の本を含め、売れている本には一流のデザイナーが関わっていたり、いま売れすじの本の表紙によくあるデザインパターンを利用していたりするのも事実です。これを利用しない手はありません。
- 配色
- フォントの種類
- 文字の大きさやバランス
- 構成要素(テキスト、写真など)
▼最近(2021年6月)よく見る表紙デザインの傾向は、こんな感じでしょうか。
- 表紙画像が小さくなっても読みやすい大きい文字と薄い色の背景の組み合わせ
- 文章をたくさん詰め込んで、情報量多め。縦組みの文章と横組みの文章が混在
- イラストや写真より、文字の主張が強め
- 一部の文字を大胆に大きくし、デザインのメイン要素として扱う
- 大きい文字は細めのフォントが多い
- 原色に近い赤、青、黄色など、ハッキリした色使いで注目を集める
もちろん本の対象読者が違えば、参考にすべき表紙デザインも変わってきます。あなたの本と同じジャンルで今売れているタイトルの表紙デザインを一つでも多く集めて検討しましょう。
デザインの流行は想像以上に早く移り変わっていて、それは本の表紙でも同じことが言えます。流行りの表紙デザインを探すなら「今週」「今月」売れている本のデザインをチェックしましょう。
表紙デザインはあらゆるガジェットや大きさでチェック
表紙デザインはスマホ、タブレット、パソコンなどからチェックしてみましょう。
パソコンからだと気にならないのに、スマホで見ると文字が小さくて読みづらいなど、同じガジェットから見続けていたら気づかなかった問題点を見つけやすくなります。
スマホでアマゾンのウェブサイトを開いた時にどう見えるかは大切なポイント。表紙の画像はかなり小さく表示されます。
- 小さく表示してもメインタイトルがちゃんと読めるか
- 競合本とあまりにも似たデザインになっていないか
表紙デザインが本の内容と合っているか確認しよう
表紙デザインが本の内容と合っていることも、重要なポイントです。気をつけたいのは、デザインが意図せず本の内容とは違うものを想像させてしまうことです。
- 女性ファッションの本なのに、モノクロで筆文字のタイトルの表紙
- インスタグラムについての本なのに、ツイッターのアイコンのような青い表紙
- クスッと笑えるエッセイなのに、ビジネス書のような堅い雰囲気の表紙
読者が概要欄までしっかり読みこんでから購入することはまずありません。
特にKindle Unlimitedは無料で失敗してもリスクがない分、表紙デザインだけさらっと確認して本をダウンロードされる傾向が強いです。
誤解したまま購入されてしまうと低評価がつく可能性がグッと上がります。
- 一般的に知られているロゴやウェブサイトがあれば同じ色、または似た色を表紙にも使う
- 表紙にロゴを入れる
「これが好きだから!」といって、内容と関係ないイラストや写真を表紙に使うと、読者が混乱するのでやめましょう。
さっそく電子書籍の表紙をデザインしてみよう
Kindleで本を出版するということは、アマゾンという巨大なマーケットで少しでも自分の本の露出を増やしたい、売りたいと思われているのでないでしょうか。
アマゾンでは何十万部も売れるベストセラー作家の本も、初めて出版した新人の本も、同列に表示されます。
何十人も関わっていて「絶対売ろう!売れなきゃ今年のボーナスが出ないかもしれない」という強い思いが伝わってくる本の隣に、あなたの本が並ぶということです。
「興味本位で出版してみただけだし、何かあったら販売やめよう」みたいな気持ちで取り組んでいても、あまりいい結果には繋がらないでしょう。
難しいですが、表紙が良ければそれだけクリックされたり購入される確率も上がります。本記事で紹介した重要ポイントを押さえながら、読者に届くデザインを目指してがんばってください。